復元の生物学 その4

実験としての復元と順応的管理

復元とは、環境を積極的に改変することだ.よって,それは一種の実験とみなせる.

Young(2000)によると,

  • 保全生物学の論文は動物を扱ったものが多く,より記述的,あるいは論理的である.
  • 復元生態学の論文は植物を扱ったものが多く,より実験的である.

この比較は最近の復元生態学の特徴をうまくついていて、自然の復元には植生の再生が欠かせない.そして,植物は動物に比べて実験的な取り扱いがしやすいということだ.

 

Drayton & Primac (2000) では,8種の多年生草本を用いて,四つの方法で新しい野外個体群を定着させる実験を行い,どの方法が最も成績が良いか比較した.

成功率について

  • 野外に種子を蒔く < 芽生えや成熟個体を移植する
  • 芽生え < 成熟個体

となった.また,成熟個体を用いれば,確実に早く開花し種子をつけるが,種子から芽生えた個体はなかなか開花しない.野外に種子を蒔く前に土を掘り起こし,あらかじめ競争者を減らす方法では,芽生えはほとんど定着しなかった.

 この研究から,絶滅危惧植物の新しい個体群を野外に定着させることは,一般的に非常に難しく,それぞれの種子にうまく使える方法を開発するためには,多くの場所を使い,多くの種子や苗を使い,様々な手法を検討する必要がある.

 ゆえに,絶滅危惧植物の保全は,第一に現地での保全が優先となる.現在生育地でない場所への再導入は,種の存続をより確実にするための,補足的な措置にすぎないと結論づけた.