水草のはなし

水生植物の危機的状況

日本の汽水域、淡水域には、帰化種を除いて約200種の水草が分布するそうである。ここでいう水草は、狭義の水草であり水域を主たる生育環境とするものを指す。

 

植物版レッドデータブックRDB)(1989)によれば、その種数の約25%に相当する47種がリストアップされている。さらにその後の環境庁RDB(2000)では、87種もの水草がリストアップされている。こんなに多くの種がリストアップされているなんてまったく知りもしなかった。

 

水草は、その生育形によって次の4タイプに分けることができ

・沈水植物(絶滅危惧種の割合は59.7%)

・浮葉植物(同51.5%)

抽水植物(同27.5%)

・浮遊植物

が挙げられる。

 

水草が減少する要因

・水域の埋め立てや干拓によって水域そのものが消滅すること。

・水域は残っても、護岸の改修などによって水辺の移行帯(推移帯)を生育場所とする種の生育を不可能にすること。

・また過剰な利水による渇水や不自然な水位変動も水草の生活史に影響を与える。

 

保全生物学の課題

生活史特性の研究

日本に分布する水草は約200種ということであるが、それらについて正確な分布、生育環境、生活史特性などの基礎的情報が集まっている種というのは限定的である。まだまだ基礎的な情報に関わる研究は足りない状態である。

 

ごく近縁種であるのに、一方が比較的多産であり、もう一方が極めて稀という例がある。ヒルムシロ属のホソバミズヒキモは各地に産する一方、コバノヒルムシロの産地はごく限られる。その姿形はそっくりであり、どのような生態的差異が普通種と稀産種に分けたのかは、未解明なのである。

 

水草たちが生活史を形成する上で、どのような環境が必要であるのか…?これについて地道な研究を積み重ねていく必要があるようである。 生物保全のためには、やはりどう守っていくかの根底には多くの基礎研究が必要不可欠、生活史、生態などメカニズム解明の研究なんかでも十分楽しめそうである。

 

 

参考:保全と復元の生物学 野生生物を救う科学的思考 種生物学会編(2002)